うずまさ共生の郷ブログ
看取りの人
2021.10.15
「看取りの人」⑤
小柄で笑顔の優しい方です。
シルバーカーを押して歩かれていました。
看取りに入り、
ご家族にお好きなお寿司を持ってきていただき、
ご一緒に食されました。
ご家族が帰られる時は、
玄関まで必ず見送りに来られました。
「気をつけてな」
と手をふって見送られました。
亡くなられる2,3日前、
訪問カットが済んで
お待ちのご家族のもとへ
シルバーカーを押して来られると、
ご家族が「え、まだ歩けるんか」
とびっくりされていました。
最期までお元気で、
苦しむことなく
静かに息を引き取られました。
ちょうどご入居のとき担当した方で、
施設で看取りを始めてお二人目の方でした。
ご家族は
「ここにご縁があって。
みなさんによくしてもらいました」
とお声を掛けていただき、
たいへんうれしかったです。
no.82
[うずまさ共生の郷ブログvol.139]
2021.09.01
「看取りの人」(4)
ショートステイご利用の方でした。
日常生活はほぼ全介助です。
ベッドや車いすからの立ち上がり等も
介助していました。
ショートステイはご自宅と施設を交互に利用されます。
施設では夜中に巡回をするのですが、利用開始当日の夜中、
何とご自分でベッドに腰かけておられたのです!
一人で座られるところを私は初めて見ました。
動きたいときもコールボタンを押されますので、
これまで自分で座られることは
まったくありませんでした。
しっかり座っておられました。
その光景を見て、
きっとご自宅では家族に迷惑を掛けたくないと思って、
ご自分でされていたんだろうと推察しました。
その気持ちやあっぱれ!という感じです。
告別式では
「ほんとは着物が好きだったけど、
洋服とサングラスで旅立ちました」
とご家族様は仰せでした。
寺尾美智子 (no.71)
[うずまさ共生の郷ブログvol.127]
2021.08.08
看取りの人(3)
看取りの方はだんだんと食が細くなります。
通常提供する食事ではなく、ご本人の嗜好品や
食べられるものを食べられるだけ
召し上がっていただきます。
最後、スプーン一口の時もあります。
ある日のことです。
ご家族様がお持ち下さったゼリーを手にして、
職員が○○様を訪ねました。
「○○さん、ご家族さんが、美味しそうな
ゼリーを持ってきてくださいましたよ」
そうお声がけすると、○○様はベッドの上で、
おもむろに背筋をピンと伸ばされました。
「あら、あなたが召し上がって」
職員はとっさに答えました。
「私ね、これさっきいただいたんです。
美味しかったですよー!」
「え、そーお?」
○○様はそう仰ると、ゼリーをひと口食べられました。
お好きなものは、一口でも二口でも
食べていただきたいと思っています。(no.67)
[うずまさ共生の郷ブログvol.123]
2021.07.21
看取りの人(2)
「看取りの人」
すでにお亡くなりになられた方です。
家族葬をされました。
後日来られたご家族様に伺うと、
お棺に元気なころ好きだったビールと靴を
添えましたとのことでした。
ご入居時にはすでに車椅子の方で、
私たちはその時点からお世話をさせていただきます。
けれどお棺のなかに添えられたお品は、
施設では思いも致さなかったものです。
そのとき、私たちはもっとご利用者が元気な頃、
どういう生活をされ、どんなお気持ちで居られたかを
しっかりわからなければいけないと肝に銘じました。
その後、ご本人から出来るだけ以前の生活をお尋ねする
「趣味・生活のアンケート」を作り、
お話を聴くことにつながっていきました。
そのご家族様は「(看取りは)後悔していません」
とご自分に言い聞かせるようにお話でした。
また「ここで看て頂いてよかったです」
ともおっしゃっていただきました。
その言葉を胸に、
私たちもご家族ご本人に寄り添いながら支援を致します。
[うずまさ共生の郷ブログvol.117]
2021.07.14
看取りの人(1)
当施設では「お看取り」をさせていただいております。
医師の診察・診断により、治療・平癒が見込めない
状況になった時、ご家族様と施設職員(医師・看護師・
施設長などの職員)で、まずご家族のお気持ちを充分
くみ取ってお話をさせていただきます。
施設にご入居される方はすでにお連れ合いを
亡くされた方も多く、「私の時は何もせんとってな」
と言われている方も多いです。
でも残されるご家族様は「それでよいのだろうか」
と逡巡されます。
それはまったくその通りだと思います。
一番近しい人の最期をどう受け止めていくのかー、
それが(施設職員である私もふくめ)残った家族に
「来し方行く末」をもう一度辿らせてくれる道でも
あるように思います。
次回からは「お看取りの方」が私たちに
はっと気づかせていただいた小さなことを
お伝えできればと思います。
なおプライバシーには充分配慮して記載いたします。
[うずまさ共生の郷ブログvol.113]